自宅で死んだら その家は事故物件?

現在の家族と世帯の状況は?

事故物件の話をする前に先ずは、現在の家族と世帯の状況を確認しましょう。

政府が国会に提出している年次報告書である「令和5年版高齢社会白書(下図)」によると下記の図の通り、「65歳以上の一人暮らしの者」は男女ともに増加傾向にあり、昭和55年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、令和2年には男性15.0%、女性22.1%となっているそうです。

「65歳以上の者のいる世帯」は全世帯の約半数となり、「夫婦のみの世帯」及び「単独世帯」がそれぞれ約3割を占めているのです。

65歳以上の者の8割以上が持家に居住

65歳以上の者について、住宅所有の状況を見ると、「持家(一戸建て)」が75.6%、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」が11.8%となっており、持家が合わせて8割以上となっています。

その持ち家で、自分やパートナーが亡くなった場合には「事故物件」となり、不動産価値が失なわれるのでしょうか?

「事故物件」とは?

「事故物件」にはどんな条件でなるのでしょうか?実は「事故物件」この基準を国が出しています。

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインとし、2021年10月8日に「国土交通省」が「宅地建物取引業者」に向けて、義務の判断基準としての位置づけを出しています。

ガイドラインによると、事故物件とは「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件のこと。つまり、「自殺」や「他殺」が発生した物件や、自然死や事故死であっても「特殊清掃が行われた物件」が事故物件として取り扱われるようです。

自然死・自殺・他殺・・・どこからが事故物件

ガイドライン制定前は、その死因や背景を問わず、過去に人の死が発生した居住用物件をすべて事故物件と呼ぶ不動産屋さんも多くいました。しかしガイドラインでは、その死が自然死や日常生活による不慮の死に該当する場合は、その事実を入居者や入居希望者に告知しなくて良いとしています。従来の曖昧さをなくし、自殺や他殺による死が発生した物件が事故物件に当てはまるとしたのです。

人はいつか亡くなるものであり、自然死の発生は特別なことではありません。特に高齢者の場合は、階段からの転落や浴室での転倒、誤嚥(ごえん)などによる不慮の事故が日常生活の中で起こる可能性は十分あります。このように、「日常生活の中で当然起こりうる死」については、不動産取引時の判断を左右する重要な要素ではないと認められました。

特殊清掃が行われたかが影響する?

自然死や日常生活における不慮の死であっても、特殊清掃が発生した場合は例外。入居者の死後、一定期間にわたって発見されなかった際には臭気や害虫を取り除くために、消臭や消毒を含む特殊清掃が必要になります。この事実は入居者の意思決定を左右すると考えられ、事故物件として取り扱われるのです。

「心理的瑕疵」がともなう物件って?

事故物件とは、「心理的瑕疵(かし)」がともなう物件とも言い換えられます。心理的瑕疵とは、不動産取引をするうえで入居や購入の意思を左右させうる、ネガティブな事象のこと。つまり、心理的瑕疵がともなう物件とは、心理的に「ここには住みたくない」と思わせるような、重大な欠陥があることを意味します。気に入った物件であっても、「前の入居者が居室内で自殺した」という事実を聞かされて入居を見合わせる、というのがその典型例です。

結論

「自宅」で亡くなった人の割合は2000年代以降、一貫して13%前後で推移していましたが、長引くコロナ禍の影響で、15%を超えて来ました。ですが、いまだ病院で亡くなる方は70%近くあり、施設などで亡くなる方が15%弱なので、ほとんどの方は病院や施設で亡くなりようです。

「一人暮らし」の方も「医療」と「携帯電話」などの進歩で、病状が悪化する前に自ら入院するが連絡する場合がほとんどです。また「在宅死」する方のほとんどは家族と最後を迎えたい方であり統計学上、事故物件になる確率は非常に低いと言えます。

突発的な「突然死」の場合で、見つかるまで時間がかかった時にのみ「事故物件」になる可能性があります。

それを心配するより、残された愛する家族が「不動産」でもめたりしないように「エンディングノート」や「遺言書」などをしっかり準備することが最も大事なことでしょう。


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ハクルリ

ハクルリ

座右の銘は「先駆け」。マイブームは休みの日に愛犬を連れて行くドックラン巡りです。


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