檀家の「護持会費」って何?

寺院のお墓に眠るご先祖様の供養のために、「護持会費」という費用を払っている方は多いと思います。しかし、その「護持会費」を払っていない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
「護持会費」とは、寺院に対して支払う年間の会費のようなものです。「護持会費」を払うことで、寺院からお墓の管理や法要の執り行いなどのサービスを受けることができます。また、護持会費は寺院の運営費にも充てられます。
「護持会費」を払っていない場合、以下のようなリスクが考えられます。
- お墓の管理がされなくなる
- 寺院からお墓の掃除や草刈りなどの管理サービスを受けることができません。そのため、お墓が荒れたり汚れたりする可能性があります。また、不慮の事故や天災などでお墓に被害があった場合の連絡も来なくなるでしょう。
- 法要ができなくなる
- 寺院から法要や法事などの宗教的なサービスを受けることができません。そのため、ご先祖様の命日や盆や正月などに、僧侶による読経や供養をしてもらうことができません。また、自分や家族が亡くなった場合、寺院から葬儀や納骨などの手配をしてもらうこともできません。
- 檀家から除名される
- 寺院から檀家として認められなくなる可能性があります。その場合、お墓を引き継ぐことや新たにお墓を建てることもできません。また、寺院から除名された場合、同宗派の寺院に移籍することも難しくなるかもしれません。
以上のように、「護持会費」を払っていない場合は、お墓やご先祖様の供養に関するさまざまなリスクがあります。
「護持会費」は高額に感じるかもしれませんが、それだけ寺院から多くのサービスを受けているということです。自分や家族だけでなく、ご先祖様や社会にも貢献しているという意識を持ちましょう。
檀家になった覚えがないのですが?

自分が「檀家になった覚えがない」という方も少なくありません。
それは、檀家になることは本人の意思ではなく、親や祖父母などの先祖から引き継がれるものだからです。
つまり、先祖がその寺院の檀家だった場合、その子孫も自動的に檀家になるという仕組みです。これは、日本仏教の歴史的な背景によって常習化したもので、現代では多くの問題を引き起こしています。
例えば、先祖が遠方にある寺院の檀家だった場合、その子孫はその寺院と関わりがなくても基本的に「護持会費」を払わなければなりません。
これらの事例は、「無縁仏」や「無縁墓」、「無縁社会」という言葉で表現されるように、現代社会における仏教と人々との関係の断絶を示しています。
解決法は?

では、どうすればよいでしょうか?一つの方法は、自分がどこの寺院の檀家であるかを確認し、必要であればその寺院と交渉することです。
交渉する内容は、「護持会費」の減額や免除、お墓の返還や移動などです。しかし、これらの交渉は必ずしも円滑に進むとは限りません。
檀家離れが顕著な現在、寺院側も経済的な困難に直面しており、「護持会費」や「寄付金」がその収入の大部分を占めています。そのため、寺院側は檀家を失うことを嫌がり、交渉に前向きではない場合もあります。
寺院のお墓の「護持会費」を払っていないリスクは、お墓や遺骨の喪失だけでなく、仏教との繋がりの喪失でもあります。しかし、そのリスクを回避するためには、自分がどこの寺院の檀家であるかを知り、その寺院とどう関わるかを考える必要があります。そして、自分が本当に信仰する寺院や宗派を見つけて、そこに檀家として加入することもできます。これらの方法は、自分の仏教観や死生観を見直すきっかけにもなるでしょう。