今話題の「散骨」・現状と問題点

現在、葬送の形態は大きく変化し「散骨(さんこつ)」が一般化しつつあります。

では「散骨」とはどんなことを言うのでしょう?

散骨とは墓地などに「埋葬(まいそう)」「埋蔵(まいぞう)」するのではなく、お骨を「撒く(まく)」葬送のやり方です。「撒く(まく)」とはどこに撒くのでしょうか?

一般的なのは「海洋葬(散骨)」です。写真のようにクルーザーなどの船で出航し、自治体などで決められた海域にて散骨するのです。

最近の流行りでは「バルーン葬(空中散骨)」もあります。

大きなバルーンの中に粉末状にした遺骨を入れ空に放ち、そのバルーンが成層圏に届くと自然に破裂し空中に散骨する。そのお骨は気流に乗り全世界を旅するという触れ込みです。

この他に「山林」や「河川」、果てには「宇宙葬」などもあります。

今、この多様化した「散骨」が問題となっているのです。

今の散骨の問題点とは

陸地での散骨では、とある事業者が墓地の許可を取得せずに「散骨場」を開設しようとした事例がありました。

墓地であれば自治体の許可なしでは開設できないのだが、「散骨」は墓埋法の規定外となるので「散骨場」は墓地ではないと言うのが事業者の言い分です。

このような事例を受けて規制に乗り出した自治体もあります。これは海洋散骨で、6海里(11.11km)以内の海域で散骨はしないこととしています。だが現状では「指針」としてであり、あくまで順守を要請する内容であり、法的な拘束力はないものとなっています。

散骨に対しての条例や指針の制定を行った自治体は全国で12〜13になるとのこと。こうした各自治体による散骨規制の同行は、国の「墓埋法」によっては散骨を規制できないことの裏返しだとも言えます。

社会的な規範がない無秩序な状態で散骨が行なわれてしまえば、散骨する側の権利と、散骨される側の権利が衝突し、トラブルにつながる可能性が高くなるのでないでしょうか。

問題点をあげてみましょう。

①公衆衛生上の問題

②国民の宗教的感情の問題

③漁業や観光産業における風評被害の問題

④地値の低下などの経済的影響の問題

⑤散骨の量にもよるが、不法投棄での環境への悪影響の問題

⑥散骨利用者の保護の問題

などが考えられます。

ある専門家は、未埋葬遺骨や改装遺骨の散骨が実施されている状況において「故人の記録が保存されていてない点と故人の尊厳性を保てない点が問題」と言います。単なる「遺骨処分」を助長することにならないかが、心配されるのです。

現在、東京都の場合には「墓埋法」の規定外になるために「改葬許可証は不要」とされています。しかし、こうした対応はお墓から自由に遺骨を取り出せる状況を促す可能性があるのだといいます。

「単なる遺骨の処分」を助長することにつながり、故人の尊厳が損なわれてしまうのではないでしょか。やはり、「散骨の届け出制」と「改装許可」が必要とすべきだろうと考えます。

「日本石材工業新聞」記事より一部転用

散骨は違法だった!?

現在、散骨は合法か?違法か?結論から言えば「どちらとも言えない」となります。火葬と土葬を対象にした「墓埋法」には規定が無いことが原因です。

かつては散骨が違法になると考えられた時代がありました。それは、「墓埋法」の中に「埋葬又は焼骨の埋蔵は墓地以外の区域に、これを行ってはならない」とあるからです。

また、「刑法」にも「遺骨遺棄罪」とあり、これに抵触する可能性もあります。

だが、散骨を行こなう人が増え始めた1991年、当時の厚生省と法務省が見解を示すこととなったとのこと。厚生省は「墓埋法は散骨を想定しておらず、散骨を禁じた規定では無い」法務省は「葬送を目的とし節度を持って行う限り、遺骨遺棄罪には当たらない」と、見解を示しました。

これを見て、散骨は合法だ!とは言い切れません。法務省の「節度を持って」は基本的に何を意味するのか、また厚生省の「墓埋法の対象となってない」と述べたにすぎません。

ようは「どちらでも無い」のです。

こうした中、散骨をどのように規制するかという問題は地方自治体の条例に委ねられているのが現状です。散骨業者で組織する協会でもガイドラインを策定するなど、独自のルールで「節度」を保つ努力はしています。

今、散骨を考えている方はこれらも踏まえ、節度ある散骨を心がけて欲しいものです。


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ハクルリ

ハクルリ

座右の銘は「先駆け」。マイブームは休みの日に愛犬を連れて行くドックラン巡りです。


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