おひとりさまの終活
誰もがおひとりさま予備軍
65歳以上のひとり暮らしのは年々増えています。65歳以上のおひとりさま(独居高齢者)は736万人。おひとりさま“予備軍”ともいえるおふたりさま(65歳以上の夫婦のみ世帯)は693万世帯となり、未婚シングルの方、離婚された方、配偶者と死別された方、子が独り立ちした、嫁いだなど、「おひとりさま」の高齢者が急増しているのです。
厚生労働省の「国民生活基礎調査(令和元年)」によれば、65歳以上の者のみで構成されている高齢者世帯のうち、単独世帯は736万9000世帯になるそうです。内閣府発表の「高齢社会白書(令和4年)」をみても、現在の65歳以上の一人暮らしは全体の23%になっており、4人に1人が「おひとりさま」となります。
高齢者とは人生における「後半戦」の始まり
人生100年時代。今まで残り少な余生思っていた定年退職後は人生の後半戦の始まりなのです。
その長い人生こそが、「おひとりさま」になるリスクを高めているのです。
データ※によると、75歳以上の女性の約65%は、配偶者との死別や子どもの独立など、何かしらの理由により「おひとりさま」で最期を迎えているそう。「おひとりさま」の方も、これから「おひとりさま」になる可能性がある方も、最期に頼れるのは自分だけかもしれません。
おひとりさまと孤立死
日本では高齢化により独居老人が増えたことで、自宅でひとり亡くなっていく孤独死が増えています。
なかには亡くなった後も数日間放置される孤立死も多く発生しており、社会問題となっています。自宅で亡くなる独居老人は2003年から増え続けて2015年までの12年間で2倍を超えています。
このように孤独死は決して他人ごとではなく、独居老人の世帯では誰にでも起こりうる危険と隣り合わせの状況なのです。
近年では、個人情報の意識が強くなったことや、マンションの増加などもあり、近所づきあいが減ってきています。
近所付き合いの減少が顕著に表れているのが、自治会の加入率の低下です。
どこの地域でも自治会の加入率が下がっており、50%を切る地域も珍しくありません。
このように地域での繋がりがなく近所付き合いが少なることで、孤立状態の高齢者が増えているのです。
おひとりさまの終活とは
多くの方が、死後のことを伝えるものとして思い浮かべるのは「遺言書」ではないでしょうか。
たしかに、遺言書も大切ですし必要です。
しかし遺言書だけではおひとりさまは不十分です。遺言書に書けることは、民法で定められています。遺言事項のみが法的な効力を持ちます。
たとえば、
- 遺産をどのように分けるか
- 婚外子を認知するか
- 遺言執行者をどうするか
- 祭祀承継者はどうするか
といったことが遺言事項になります。遺言として認められる遺言事項以外の記載をしても法的な効力はなく手続きができないということになります。
また、実際に遺言書に基づいた手続きが開始されるのは、葬儀などが一段落した四十九日の後が一般的です。つまり、葬儀のことや亡くなってすぐしなくてはならない手続きについて遺言書に記載したとしても、読まれる頃には全部終わってしまっている可能性もあるのです。
死後事務委任契約とは
そこで、おひとりさまに知っておいてほしいのが「死後事務委任契約」です。
身近に頼れる親族がいない場合、自分が亡くなったあとの葬儀や納骨・後片付けなどをしてくれる人を見つけておくことが必要です。
死後事務委任契約は死亡直後のことをおおむねフォローすることができます。
では、「死後事務委任契約」とは、どういった契約でしょうか。
あらかじめ自分の代理人(受任者)を決めて自分(委任者)の希望どおりに死亡後のさまざまな手続きを行ってもらう契約のことです。
任せられる手続きには次のようなものがあげられます。
- 死亡時に病院や施設に駆けつけて遺体の引き取りの手配
- 死亡届の提出や火葬許可証の申請・受領
- 生前に伺った希望に沿った葬儀や埋葬・散骨に関する手続き
- 関係者への死亡通知
- 入院費・施設費など諸費用の清算手続き
- 社会保険・国民健康保険・介護保険・公的年金などの資格喪失手続き
- 行政機関発行の資格証明書返納の手続き
- 水道光熱費や電話、クレジットカードなどの各種契約解除
- 賃貸住宅の場合の住居引き渡しまでの管理と明け渡し手続き
- 住居内の遺品整理や形見分け・寄付などの対応
- SNSやメールアカウントなどの削除
- パソコン・携帯電話の情報抹消手続き
など、契約内容は自分の希望をしっかりと伝え、代理人(受任者)に行ってもらうことを詳細に決定しておくことが大切です。
まとめ
亡くなったあとのことを考えておくなんて、と思われて方もいらっしゃるかもしれません。死ぬことを考えたくない…高齢になればなるほど身近にせまり考えたくない問題になるでしょう。まだまだ死なんて先の話!と思っている頃から少しずつ準備することが必要です。誰もがおひとりさま予備軍。何とかなる!ではなく、自分でなんとかしておかないといけない長寿社会がやってきます。
実はこれから必ず『おひとり様』を迎えるであろう0代,50代にも考えていく必要があるのではないでしょうか。