注目を集める公営「合葬墓」ってなに?
いま全国各地にて「合葬墓」を整備する自治体が増えて来ているのはご存知でしょうか。
その募集が開始されると、市民が殺到し新聞沙汰になることもあるのです。
今回は、なぜ今この自治体が整備を進める「合葬墓」がそんなに話題なるのか? に迫ってみます。
「合葬墓」とはなんだろう?
まずは「合葬墓」とはなんでしょう?
ご遺骨を埋葬する方法のひとつで、合葬とは、読んで字のごとく「合わせて埋葬する」という意味です。
ご遺骨を他の人と一緒にする埋葬方法のことを指し、ご遺骨は色々な人の遺骨とひとまとめにされ混ざった状態になり、長い年月をかけて土に還るかたちで地面に埋葬されます。(最近では骨堂全体がコンクリートで囲まれ、土に還れない合祀墓も増えて来ています。)
少子高齢・核家族化が背景?
総務省統計局の発表によると、令和5年2月確定値での日本の「総人口」が、1億2659万2千人となり、前年同月に比べ56万人減少しています。
15歳未満人口は、1439万5千人で、前年同月に比べ29万4千人が減少し、
65歳以上人口は 3618万人で,前年同月に比べ6万人増加しました。
65歳以上の高齢者人口が全体に占める割合は上昇が続き、29%を超え、少子高齢化がさらに加速していることが浮き彫りとなっています。
高度経済成長に伴う都市への人口移動や、地方離れにより核家族化が進み、これが「家族の個人化」を進め、地方の年配者の孤独を生み出しました。核家族化が進んだ現在では、葬送の方法を生前に決めなければ、無縁仏になるかもしれないことが懸念されるのです。
「継承者を必要としない」がポイント
そんな(継承者を必要しない)ニーズに答えようと、全国各地の寺院・墓地管理者が、永代供養墓・期限付き墓・合葬式墓地・納骨堂等多様な形態の墓を整備している。
価格も寺院や墓地管理者が努力し、20万円~100万円と一般墓よりは、かなりリーズナブルな価格を設定している。
ところが自治体の「合葬墓」は、地域によっては1霊たったの「17,000円」で受け入れている所があるのです。いくらなんでも安すぎだ!と地元の寺院や関連業者からは声が上がる。また、これに市民が殺到したので、地元の寺院関係者や関連業者は更に困惑している。
檀家離れ、お墓離れが深刻な業界にしてみれば死活問題なのです。
利用者からしてみれば、安くて管理費もない公営の合葬墓が魅力的なのは当然の話しである。
本質の「供養」は、どうなるのだろう?
お骨を入れるだけなら自治体の「合葬墓」で良いですが、その「ご遺骨」を供養するという面では弱いのではないでしょうか。
寺院では、日々お経を読んだり、お勤めもありお墓も含めた「ご遺骨」を常に供養をしています。寺院のお墓は「ご遺骨」を安置する場所というよりは、供養がメインと言っても過言ではないのです。
また民営の霊園でも、「春彼岸」「お盆」「秋彼岸」は少なくとも合同慰霊祭などで定期的に供養はされています。「公営」「寺院」「民営」の選択は、もちろん個人の判断になるでしょう。
だが、筆者は、断然「寺院」を勧めます。
供養されない不安あれば、死への不安につながりかねないからです。安心して最後を迎える為にも「寺院」の選択肢も入れてほしいと思います。
「墓石を必要としない」という選択肢
葬送の多様化が進んでいます。
・親族と安心して眠れる先祖代々の墓
・家族だけで眠れる夫婦墓
・墓じまいもセットになった期限付き墓
・継続的な負担が少ない永代供養墓
・仲間と共に入れる共同墓
・自然の中で眠れる樹木葬
・海や空に還る散骨
・価格が安い公営合葬墓など
お墓は「個人や先祖をまつる場所」
最近は無宗教派が多く、お墓を「個人や先祖をまつる場所」ではなく「遺骨をおさめる場所」と考えている人が増えています。
近い将来には、直系家族ではない「個人単位での葬送」や「合葬式の墓」が 増加するとともに、「墓石を必要としない」という流れも強まるのは必至です。
石のお墓にこだわる必要はないが、供養の気持ちは薄れてほしくないものです。
この記事を書いた人
座右の銘は「先駆け」。マイブームは休みの日に愛犬を連れて行くドックラン巡りです。