追悼・アントニオ猪木さんの終活事情
2022年10月1日に元プロレスラーであり元政治家だった「アントニオ猪木」さんが79才で亡くなりました。
猪木さんは晩年、難病「全身性アミロイドーシス」と闘病していましが、最後は低血糖で体調を崩し、状態が悪化し自宅で息を引き取ったそうです。
プロレスラー・アントニオ猪木
プロレスラー・アントニオ猪木さんは、1960年4月に、興行でブラジルのサンパウロを訪れていた力道山さんから直接スカウトされ、日本プロレスに入団。背中の筋肉を見せただけで合格になったそうです。
その後、東京プロレスなどを経て1972年1月に「新日本プロレス」を旗揚げ。そこではあの有名なプロボクシング統一世界ヘビー級チャンピオン「モハメド・アリ」との一戦があり世界各国に中継され話題を呼びました。その試合ではパンチでは勝負にならないと踏んだ猪木さんは、横になり足元にキックする作戦に出て、その技は「アリキック」と呼ばれ有名になりました。
その後、プロレス界の最前線で戦い抜いたのちの1998年4月の東京ドーム大会を機に引退されました。その時に吟じた「道」があの有名な「この道を行けばどうなるものか~」の詩となります。
格闘技イベントプロデューサー・アントニオ猪木
猪木さんはプロレスラー引退後に格闘技イベントの「UFO」「PRIDE」「INOKI BOM-BA-YE」「Dynamite!! 」など、多くのプロデューサーや盛り上げ役として活躍されました。
プロレスファンである筆者もこれらのイベントは何度となく見に行っており、試合の盛り上がりよりも、猪木さんが出て来て会場を巻き込んでやる「1!2!3!ダー!」が一番盛り上がるのが恒例でした。これがもうできないと思うと悲しくてたまりません。
政治家・アントニオ猪木
政治家・アントニオ猪木さんは、1989年に「スポーツを通じて国際平和」を合言葉にスポーツ平和党を結成。第15回参議院議員通常選挙に出馬し初当選、参議院議員となりました。2019年6月の第25回参議院議員通常選挙には出馬せず、一時落選などもありましたが約30年間の政治に関わる生活を送りました。
任期中は「湾岸戦争 日本人人質解放」や「北朝鮮 親善プロレス」を行うなど多くの平和つながる活躍で実績を残しました。
アントニオ猪木さんの「生前葬」
実は猪木さんは、自ら「生前葬」を執り行っています。それは「INOKI ISM.2~アントニオ猪木『生前葬』」と銘打って2017年10月に両国国技館で行われました。猪木さんが74歳の時です。
「生前葬」にはプロレスラーの藤波辰爾さんや藤原喜明さん、スタン・ハンセンさんなどが立ち会ったそうです。
“追悼のテンカウントゴング”が鳴らされ、ステージのリングの上には白い棺桶があり、自分が歌う「千の風になって」が流れ、花道から白いガウン姿のご本人が登場、白いガウンを脱ぎ捨てスーツ姿の猪木さんがステージに立つと「生前葬? 俺も何だか分からない」と言いったそうです。そして棺桶の中から魂を模した?玉を持ち上げると、頭上に突き上げるパフォーマンスがあり、「今、魂が空を飛んで異空間にいった」と言い、笑ったそうです。さすが猪木さんぶっ飛んでいますね。
「アントニオ猪木家のお墓」
猪木家の墓石の正面には「道」という大きな文字が彫刻され、左には縦に「アントニオ猪木家」、手前には「道」の詩の全文が刻まれています。左手前にある墓誌には、2019年8月亡くなり納骨された妻「猪木田鶴子」さんの俗名だけ彫刻されているそうです。
形は特殊ですが落ち着いたデザインのお墓ですね。
「お墓」の場所は、青森県の山中の静かな温泉地「蔦温泉」の近くだそうです。2人はこの温泉が気に入り、何度も来訪していたとのこと。その場所に決めたのは猪木さん本人だったそうです。
アントニオ猪木さんの「終活」
「アントニオ猪木家のお墓」あのぶっ飛んだ猪木さんにしては、普通の墓石デザイン、普通の墓所の様な気がします。やはり本当の最後は落ち着ける場所が良かったのでしょうか・・・
猪木さんは晩年、多臓器不全を引き起こす「アミロイドーシス」という深刻な病となり亡くなりました。
ですが、元気なうちに猪木さんなりの「終活」で「両国国技館での前代未聞の生前葬」を執り行い、「愛する妻と共に安眠できるお墓」を建立できたことは、ある意味理想とした「終活」が出来たのではないでしょうか。
自分の葬儀まで「生前葬」としてイベントにいしてしまうサービス精神には頭が下がります。
常ににワクワクドキドキのエンターテイメントを届けていたアントニオ猪木さん。あの世でも「元気ですかー!」と叫ばれているのでしょうか。今現在の「元気のない日本」に「アントニオ猪木さん」の「元気ですかー!」が無くなるのは悲しいですね。いちファンとしてご冥福を祈りいたします。
この記事を書いた人
座右の銘は「先駆け」。マイブームは休みの日に愛犬を連れて行くドックラン巡りです。